「スポーツする人のちょうどいいスパイスになる」。
美容師×トレイルランナーによるキャッチレスピアス考
東京・恵比寿にある美容室「Broccoli playhair」を営む藤川英樹さん。 彼を語る上でランニング、とりわけ、登山道や林道といった未舗装路を走る「トレイルランニング」(以下、トレラン)は、欠かせないライフワークのひとつです。
そんな藤川さんも実は、「Baqless」のピアスを愛用するひとり。
今回は“美容師×トレイルランナー”のライフスタイルにスポットを当てます。
100マイルに挑戦することで新しい自分を知れる
起床は6時半から7時くらい。10〜15kmのランニングやストレッチなど、軽い運動を済ませてから犬の散歩。 その後、最低10分から、長い時は1時間ほどお湯に浸かるのが藤川さんの毎朝のルーティンです。
「お湯に浸かるのは朝晩両方です。単純にお風呂が好きなのと、冷え性なことが主な理由。 あと、“ヒトは水の中から生まれた”って言うじゃないですか? 僕の勝手なイメージですけど、1日の始まりと終わりにお湯に浸かると、なんか調子がいいんですよ」。
朝食は摂らず、昼食は血流促進や代謝アップなど、健康効果の高い酵素玄米を自宅で炊き、それをおにぎりにして仕事場へ持参するのが習慣。 体のことを気にするようになったのも、ランニングがきっかけだと言います。
「今から約10年前、30歳の時に独立してお店を出したんですけど、当時の僕って、まわりから“藤川英樹=酒”みたいなイメージを持たれるくらい、毎日のように飲んでいたんですよね。 お酒の席は確かに楽しいけど、体重は増えちゃうし、なんかいつも具合悪いし、それを栄養ドリンクでごまかしながら仕事をする自分が『イケてないな』と。で、始めたのがランニングでした」
いざ走り始めると、体に対するさまざまな気づきが生まれ、それまでのような不摂生が自然と改善。「どんどん整っていった」と言います。
「もちろん、今でもお酒の席ではたくさん飲んで食べるけど、そういう“チート”の日以外は、ハイカロリーな揚げ物などをすすんで選ぶようなことはなくなりましたね。 特にトレイルランニングなどの大会がある1週間前は、外食もアルコールも絶って、自炊するようにしています」
このインタビューの2日後に、「バックヤード ウルトラ」という超過酷レースを控えていた藤川さん。 「1時間以内に6706m走る」をひたすら続け、最後の1人になるまで継続できた者が勝者となる、何ともハードコアなイベントです。
昨年の大会で36時間、距離にしておよそ250kmを走ったことで、今回は日本人トップ15(ちなみに日本人トップは80時間)として世界大会に出場するとか。
このレース以外にも、今年だけでトレランの100マイル(約160km)レースを3本も走り、いずれも二桁順位という好成績を残しています。そのバイタリティーはどこからくるのでしょう。
「25kmとか50kmの短いレースだと、スピードの面で僕にはもう勝ち目がない。でも100マイルとか、それ以上の超長距離ならチャンスがあるかもしれない、って思っているんです。 最初の30kmくらいで『何でこんな辛いことやってんだろう』って毎回思うけど、達成感だったり、心身ともに成長している実感が得られるのも、やっぱり大きいですね。限界に出合うたびに、少しずつ自分のことを知れるというか」
ハードにスポーツしてる人が付けてこそ格好良い
走るモチベーションという意味で、見た目へのこだわりも欠かせない要素だと言います。
「美容師という仕事柄、“見てくれ”は大事だと思っています。でもトレランをやっている人で、ピアスや指輪をつけている人は少ないですし、しかもドレッドヘアでしょ。まあ、いない(笑)。 むしろ『ちょっとチャラいなアイツ』って見られてもいいんです。それなりに走れないと格好悪いな、結果出さないとな、って思えるので」
100マイルレースのチャレンジの数だけダイヤを入れた、オーダーメイドのリングをはじめ、身にまとうアイテムの一つひとつにこだわりを持っています。 Baqlessもその一つですが、ピアスを付けるようになったのは、実に13年ぶりなのだとか。
▲100マイルチャレンジの度にダイヤを入れているリングは知り合いの職人さんにつくってもらった逸品。
▲100マイル走破を記念して「100 mile finisher」の刻印を施したリング。
「初めてピアスを開けたのは高校生の頃で、28歳くらいまではずっと付けてたかな。でもその28歳の頃に、今の妻と一緒に世界一周旅行に行って、イグアスの滝を見たんですよ。大きな滝の水が、ダーッと流れていく様を見て、ふと思ったんです。『自分の体だけあれば十分。もう飾り物はいらないな』って。 そのすぐ後、耳や指にジャラジャラ付けていたものを全部外して捨てました。最低限の荷物だけ持って出た旅で、それも終盤だったから、そういう意識が芽生えたんでしょうね」
そこからしばらく、アクセサリー類は一切身に付けなくなったという藤川さん。 「結局、日本に帰ってきてモノは増えちゃいましたけど」と笑う一方で、前述のリング然り、「知り合いの人、作っている人の顔が見えるもの」を選ぶようになったと言います。
「Baqlessを付けるようになったのも、仲の良い知り合いの方にすすめられたのがきっかけ。 そうじゃなかったら、『へえ、こんなものがあるんだ』で、通り過ぎていたと思います」
一番の魅力はズバリ、外れないこと。 ポストとキャッチが一体になったT字型構造のおかげで、ピアスが抜け落ちたり、キャッチだけを失くしてしまうといったストレスもありません。
藤川英樹さん愛用モデル
「Honesty Thunderbolt」
「最初に『サーファーも付けているよ』って聞いて、『どういうこと?』と興味が湧きました。実際付けてみたら、とにかくストレスがない。何も付けてない感じがすごいなと。タオルで髪や顔を拭くときに、引っかかることもないし、どこかに飛んでいってしまうこともない。 ドレッドヘアは特に引っかかりやすいのでピアスは避けてたんですけど、これならアリだなと。美容師としては、お客さんにもすすめやすいですしね」
▲ユニセックスで楽しめるシンプルなデザインのピアスも多数ラインナップ。
「Purity Bar Silver」[手前]
「Clarity White 3.0mm」[中央]
「Purity Polyhedron Gold」[奥]
そしてもちろん、ランニング中も「付けていることすら忘れる」ほど、ストレスを感じないと言います。
「接触プレーのあるスポーツは難しいけど、個人的にはやっぱり、スポーツをしている人にこそ付けてほしいと思います。ランニングのウェアがどんどん格好良く進化しているのと同じように、ピアスも昔と違って進化しているんですよね。 例えば、僕と同世代くらいの人で、『今さら金髪なんて』『今さらピアスなんて』って思っている人に、ちょうどいいんじゃないかな。気持ちもアガりますしね」
藤川英樹 HIDEKI FUJIKAWA
1981年生まれ。兵庫県出身。
美容室「Broccoli playhair」のオーナーである一方で、現在はトレイルランニングをライフワークとし、これまで11本の100マイルレースにチャレンジ。さらに上を目指して、日々トレーニングを続けている。
text by Soichi Toyama photo by Akane Watanabe